「循環型経済」の実現を目指して
トムラ(TOMRA Systems ASA)の設立は1972年。使用済み飲料容器の自動回収機(RVM)を開発し、製造販売を開始したことから、その歩みをスタートしました。革新的なソリューションにより、食品、リサイクル、鉱業などの分野における高度な回収・選別システムを実現。資源回収の最適化を通じて、「循環型経済」の実現に貢献しています。
資源を消費して捨てる――そんな従来の「線形経済」は、地球環境にとって持続可能なものではありません。特にプラスチックは数百年もの耐久性をもつ素材です。それにもかかわらず、使い捨て製品に使用され続けています。残念ながら、プラスチックごみの多くは海に流れ込みます。そして海洋生物を脅かし、最終的には食物連鎖を通じて人間にまで影響を与える可能性があります。私たちの生活を根本的に見直さなければ、2050年までには、海にいる魚よりプラスチックごみのほうが多くなると予想されています。
毎年生産される7800万トンのプラスチック包装のうち、32%が地域社会や海にゴミとして排出されています。このうち、リサイクルされるのはわずか2%にすぎません(エレン・マッカーサー財団「新しいプラスチック・エコノミー」2017)。
このようなプラスチックのゴミのうち、使用済みの飲料容器は、使用と再利用のループを循環し、次世代のクリーンな環境づくりに活用できます。トムラではこれを「クリーン・ループ・リサイクル」と呼んでいます。私たちが新しい習慣を身につけ、より責任ある態度で資源を扱うこと――その方法で世界的規模の環境問題に取り組み、未来の子どもたちによりよい環境を残すことができます。豊かな未来に向けて、企業と消費者、政府の全関係者がともに手を携え、資源の利用と廃棄物管理の方法について、改善を重ねていく必要があります。
クリーン・ループ・リサイクル
現在、世界中で使われているカンやビンの数は、1年間で約1.4兆個に上ります。これらの中にはリサイクルされるものもありますが、その多くが道路や海、埋め立て地に捨てられているのが現状です。新しい材料で新しい容器を作り続ければ、当然ながら、貴重な資源はやがて枯渇してしまいます。そうならないために、私たちは今、何をすべきでしょうか。
従来のリサイクルも、この問題に対する対応策のひとつです。しかし、これまでのようなさまざまな資源ゴミをまとめて回収し、あとで分別する方式では、飲料容器に汚れがつくため、再利用は難しくなります。その結果、飲料容器はさらにリサイクルが難しくて価値の低い、別の素材や製品にダウンサイクルされていたのです。
新しい容器を作るために、さらに多くの原材料とエネルギーが使われ続ける――トムラはそんなリサイクルの方法を、もっと良い方法に変える取り組みを続けています。誰でも手軽に利用できるこの方式を、私たちは「クリーン・ループ・リサイクル」と呼んでいます。
仕組みはこうです。使用済み容器を自動回収機で集めることにより、容器はずっと利用と再生のループの中にとどまり、何度でも誕生を繰り返すようになります。このループに入る容器が増えるほど新たな材料が節約でき、資源とエネルギーの浪費を減らすことができるのです。
とても単純な方法ですが、回収機に入る容器が増えるほど、地球から奪われる資源を削減できます。資源をクリーンなまま再利用するリサイクルのループ――その最大のメリットはどこにあるのでしょうか。その答えは、私たち全員がよりクリーンな環境を手に入れること、です。
リサイクルを通じて、もっと幸せな未来を実現するために。トムラは日々、挑戦を続けています。